【ウィル・スミスVSウィル・スミス】という興味深いキャッチコピーを目にされた方もいらっしゃると思います。どういう意味なんだろう?と思われた方も多いのではないでしょうか。私自身もそのうちの1人でした。実際に本作を観ればその答えがわかると同時に、きっとものすごく驚かれるのではないかと思います。
今年公開された実写版『アラジン』でコミカルなジーニー役を演じたウィル・スミスの姿がまだ記憶に新しいと思います。そのウィル・スミスのアクションシーン満載の本作は必見です。メガホンをとったのは台湾出身のアン・リー監督です。2005年には『ブロークバック・マウンテン』、2012年には『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』でともにアカデミー賞監督賞に輝いた巨匠です。
あらすじ
伝説的な暗殺者ヘンリー(ウィル・スミス)は、2km離れた場所から、288km/hで走行する列車内の人間を狙撃できる史上最強のスナイパーです。自らの衰えから引退を決意するのですが、政府から依頼された任務を遂行中に何者かに襲撃されてしまいます。銃撃戦の最中、奇妙な感覚にとらわれてしまうのですが襲撃者と自分自身の挙動が、まるで鏡合わせのように重なってしまうのです。自分と同じタイミングで銃を抜き、同じ狙いでトリガーを引く襲撃者。
決着がなかなかつかず膠着状態の中、襲撃者が不用意にも物陰から頭を出した瞬間に、ヘンリーは勝利を確信するのです。しかし、トリガーを引くことが出来なかったヘンリー。なぜならばスコープ越しに目撃した襲撃者の顔、そして体つきや佇まいの全てが、若い頃の自分自身に瓜二つだったからなのです。
まさかの襲撃者が、自分の知らない間に作られていた“若い頃のヘンリー自身”のクローンだったのです。この衝撃的な事実を知ることで、ヘンリーは政府を巻き込む巨大な陰謀に巻き込まれてしまうのです。
見どころ
バイクチェイス
【ウィル・スミスVSウィル・スミス】という今までに誰も観たことのない新たな体験です。ジュニアという若いウィル・スミスの肉体を1から完全に作り上げた高いデジタル技術と、彼自身の驚異的な演技力による1人二役だからこそシームレスな戦闘シーンを目にすることができます。
VFX責任者のビル・ウエステンホッファーは「若返りの映像技術を使った訳でも、顔の入れ替えをしたわけでもない。ジュニアは完全なるデジタル技術で作り上げたもので、100%ウィル・スミスの演技で成り立っている」と話しています。
どのアクションシーンもリアリティに溢れていて、手に汗を握りながら観てしまうと思います。狭い路地を颯爽と走り抜けるバイクでのチェイスシーンはとても迫力があっておすすめのシーンの1つです。これらがほとんどワンカットで映し出されているとのことなので本当に驚きです。
感動のヒューマンドラマ
本作の見所はアクションシーンだけではありません。感動のヒューマンドラマも目にすることができます。これらがうまいさじ加減で合わさっているので、きっと多くの人の心に深く響く作品になったのだと思います。
【3D+in HFR(3Dプラス イン ハイ・フレーム・レート)】
そして、何よりもこのことが本作品を最高にしたといっても過言でもないでしょう!それは【3D+in HFR(3Dプラス イン ハイ・フレーム・レート)】です。5つのポイントをご紹介します。
1点目に3Dは+60fpsという、これまでの映画のフレームレート(1秒間に24コマ)の2.5倍というフレーム数の進化的デジタルフォーマットです。
2点目に毎秒120フレームの素材として撮影されたマスターから制作されている本作は、毎秒60枚の3D画像が投影され、3D+はこれまで以上に、実際に人間の目で見るのと近い画像を提供してくれます。すなわち、映画館にいながらにして実際にその場にいるような究極の没入感を味わえるのです。
3点目に画像が増えることでより深みが与えられるため、観客は各フレームの中により多くの情報を見て、実体験に結びつける見えていなかったものを見るような錯覚を経験できるのです。
4点目にキャストの演技とアクションという2つの要素の高度なコンビネーションにより、3D+はフィルムメーカーの思うままに、感情と視覚的スペクタルの双方を表現することが可能となりました。
5点目に視覚的ストーリーテーリングともいうべき映像の進化は、現在映画館で楽しめるものとしては最先端かつ、もっとも没入的な劇場での体験を観客に与えてくれるのです。
感想とおすすめ点
上記したことからも本作品は可能であれば3D+in HFR上映をしている映画館で鑑賞することをお勧めします。スルスルと動く映像の数々にとても驚くこと間違いなしだと思います。あるシーンでの映像を観た際、私は本物を見ているのではないかと見紛うほどでした。この体験をぜひ映画館で味わって欲しい作品です。
Gemini Man (2019 アメリカ)
製作/監督:アン・リー
製作/脚本:デヴィッド・ベニオフ、ビリー・レイ、ダーレン・レムケ
製作/原案:ダーレン・レムケ、デヴィッド・ベニオフ
製作:ジェリー・ブラッカイマー、デヴィッド・エリソン、デイナ・ゴールドバーグ、ドン・グレンジャー
製作総指揮:チャド・オマン、マイク・ステンソン、ブライアン・ベル、グォ・グワンチャン、ドン・マーフィ
撮影監督:ディオン・ビーブ
プロダクション・デザイナー:ガイ・ヘンドリックス・ディアス
編集:ティム・スクワイアズ
衣装:スティラット・アン・ラーラーブ
共同プロデューサー:デヴィッド・リー、メリッサ・リード
VFX責任者:ビル・ウエステンホッファー
音楽:ローン・バルフェ
出演:ウィル・スミス、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、クライブ・オーウェン、ベネディクト・ウォン、ダグラス・ホッジ、ラルフ・ブラウン、リンダ・エモンド、イリア・ヴォロック
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