2020年6月に施行されるパワハラ防止法。
その前に多くの企業では、自覚のないパワハラをしてしまわないために、そしてハラスメントに当たらないものを「ハラスメントだ!」と主張しすぎないために、「パワハラ体験会」で勉強しているようです。
パワハラ体験会では、被害者も加害者も体験することができ、対処法やパワハラの線引きなどを学ぶことができるのだそう。

https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20190515-00125995/
学習塾「ITTO個別指導学院」などを運営しているWITSも「パワハラ体験会」を主宰しています。
WITSの体験会では、ロールプレイとそれを解説する社労保険労務士さんのお話が交互に織り交ぜられて、わかりやすい内容になっているそうです。
WITSの喜多野正之塾長によると、「昭和生まれの人は自分の行動や発言がパワハラだと知らずにやっている場合もあるようだ。逆に平成以降に生まれた人は、何かあるとすぐにパワハラだと感じる傾向にある」とおっしゃっています。
今回の記事では、認識不足では加害者になる可能性もあるパワハラについて掘り下げてみたいと思います。
Contents
パワハラ防止法とは
大企業では2020年6月から、中小企業では2022年4月から施行となるパワハラ防止法。
具体的な内容としては
- 企業としてのパワハラ防止の方針を明確にすること。注意喚起、啓発を行うこと
- パワハラに関する相談体制を整えること(相談窓口の設置)
- パワハラを受けた社員に対してケアすること、再発を防止すること
などが求められています。
悪質なパワハラがあったり、改善が見られない企業などは企業名が公表されることもあるようです。




https://www.ashita-team.com/jinji-online/category2/5433
職場でのパワハラの定義とは
- 同じ会社で働く人に対して
- 業務上の上下関係や人間関係などの優位性を背景に
- 適正と考えられる範囲を超えた
- 精神的・身体的な苦痛を与える、又は職場環境を悪化させる言動
をパワハラだと、厚生労働省で定義されています。
パワハラの種類
パワハラは大きく分けると6つに分類することができます。




https://www.nec-nexs.com/sl/jinji-soumu/feature/pawahara/
【身体的な攻撃】
物を投げる、大声で叫ぶ、立ったまま電話で営業させるなど、目に見えてわかりやすい、昔ながらのパワハラを言います。
【精神的な攻撃】
「おまえは幼稚園生か?」や、「専業主婦でもやってたら?」と、業務とは関係ないことを言って責めたり、別室で執拗にミスを責めるなども、精神的な攻撃になります。
【人間関係の切り離し】
無視や仲間外しなども、度が過ぎるとパワハラと認定される可能性があります。
わざと仕事を教えないのも、パワハラに当たります。
【過大な要求】
明らかに達成できないノルマや仕事の量を与えるのもパワハラを疑われる場合があります。
上司という立場を使ったパワハラということになるようです。
【過小な要求】
単調な作業を延々やらせるのもパワハラとされます。
能力があるにもかかわらず、毎日お茶くみとコピーだけをずっとやらせることも、パワハラになります。
わざと仕事を与えないというのは、過小な要求です。
【個の侵害】
個人的なことに過度に踏み込みすぎることもパワハラになる可能性があります。
職場の女性に対して、個を侵害すると、セクハラとなります。
実際にあったパワハラの事例
自分が加害者にも被害者にもならないように、パワハラの事例を見てみましょう。
ある日突然「警告書」が・・・
広告会社の人事部で働く男性。
部下との面談の時に、どこが悪かったか人事評価を伝えると、その人が次の日から出社してこなくなった。
数日後、外部の労働組合からハラスメントだと訴える書面が届く。
加害者となってしまった男性は、厳しい言葉で伝えたけれども、大声を出したわけではないのでパワハラだとは思わなかったそう。
後日、話し合いで解決できたけれども、自分が良いと思った指導もパワハラになるということに驚いたそう。
職場の集団いじめが訴訟に
女性Aさんは職場のXを中心とした女性7人から陰口や悪口を頻繁に言われていた。
そして上司の男性課長からも飛び蹴りや殴る真似をされていた。
Aさんは、ついにXたちのいじめによって不安障害と抑うつ状態を発症した。




https://taishoku-go.com/workplace-bullying-behavior/
そこでAさんはXたちに民事損害賠償請求訴訟を。勤務先がいじめに対する防止措置をとらなかった事に対しては、療養補償給付不支給処分の取り消しを求める訴訟を起こしました。
結果としては、陰湿で常軌を逸した悪質ないじめであったとの見解が下されました。
いじめの当事者だけでなく、相談を受けていた会社側が防止策を取らなかったとして、会社の非も認められています。
パワハラ加害者にならないために
部下を持った時には、どのように指導すればいいのでしょうか?
パワハラという言葉が一人歩きをしているようで、難しく感じてしまいますね。
気を付けるポイントとしては、
- 部下がちょっとした失敗をしたときには、次回に向けた改善策を問うように話すことを心がける
- 間違いを指摘する時には、人格に触れるような言い方をしない。事実だけを伝える
- 「もういいよ。あとは僕がやる」など、途中で仕事を取り上げない。
もし時間が無くて途中で引き揚げた場合でも、どこまではできているかを評価してあげる。
- 年齢や属性に関連して批判をしない。
「だから最近の若い奴はダメなんだ」などは、ただの中傷になってしまいます。
判断するのは行動そのものに対してだけと意識しましょう。
パワハラしてしまいそうなタイプは?
パワハラ上司度チェックなるものがあります。
3つ以上当てはまると「パワハラ予備軍」なので、注意して行動した方がよさそうですよ。
- 物事を勝ち負けで判断する
- 周りから「怒ってる?」とよく聞かれる
- 「どうせ」や「〇〇しても無駄」とよく言う
- 自宅にいても気が休まらない
- ミスをしたとき、誰かのせいにして自分を納得させる
- 人に謝るのが嫌い
- ~すべきという意識が強い
- あのときこうすればよかった、という後悔が多い
5つ以上当てはまると、無意識でパワハラをしてしまっているかも・・・だそうです。




https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/manager/check
まとめ
いかがでしたでしょうか?
パワハラの線引きは難しいですよね。
厳しい言葉で叱っても、信頼関係があればパワハラの訴訟問題にはなりませんから。
会社側としては、どうしても社員に指導したいときは書面で伝えた方が、証拠が残って安全なのだそうですよ。
とはいえ、「ハラスメント」という言葉ばかり濫用されては、何も言えないし、仕事にもなりません。
私個人的には、自分が失敗をしてしまったときは、ガッツリ叱られるのが当たり前だと思います。
それをハラスメントと言われると、社会が成り立たないと思うのです。
もちろん、絶対にダメな事案もたくさんありますが・・・
ただ、自分は加害者にはならないように気をつけたいと思います。
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